Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ししゃのけんり

死者の権利

浜尾 四郎

Lisez 死者の権利 (ししゃのけんり) de 浜尾 四郎 (はまおしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 854 caractères · 61 écrans

Aozora Bunko

なりや、否や。これらの問題を判定をするについては判事に、深甚の考慮を煩わしたいが、先に述べたるが如く、仮りに被害者が被告人の述ぶるが如き女であったとしても、なお且つ被告人の態度は許すべからざるものと思われる。即ち被告人の行為は正に刑法第二百五条の犯罪に該当すること明かであり、情状においても決して有利の点はないのであるから、実刑を科する必要ありと思料し、刑として被告人に対し懲役三年を求めたのでありました。

之に対してA、B両名の弁護人より弁論がありましたが二人の弁論は殆ど同じ主旨でありました。

彼等は先ず第一線に立って無罪論を主張しました。被告人の行為は明かに正当防衛であるというのであります。小夜子という女は被告人によこした脅迫状から見てもとても一筋縄ではいかぬ女である、しかも当夜は彼女が「殺しちまう」といった言葉を、被告人以外に聞いた者がある。(かの洗濯婆さんは証人として出廷したのです)しかしてウイスキーの罎を振り上げた所を見た、従って被告人が、もしそのままでいたならほんとうに殺されたに違いなかったであろうことをのべ、更に十九歳の女が決して腕力において青年を殺し得ざるものに非ざる事を論じ、更に液体を容れたガラス罎が立派に殺人の兇器たり得る実例を多数ひいて之を裏書しもって極力被告人無罪論を主張したのでした