Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ししゃのけんり

死者の権利

浜尾 四郎

Lisez 死者の権利 (ししゃのけんり) de 浜尾 四郎 (はまおしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 854 caractères · 61 écrans

Aozora Bunko

四

参考のために申しておきますが、当時検事だった私は、前説を支持し法廷においても情状論としてこれを述べ、春一の弁護人は法廷において極力後説を主張してこれに反対したのでありました。尤も私だとて、必ずしも春一がはじめから小夜子を弄ぶ気であったとは主張しません。成程彼の供述の通り一時夢中になったのでしょう。けれども、小夜子の方が春一を引っかけたらしい所は全く見えなかったのです。反之春一の弁護人は全く小夜子が凄腕の女で、妊娠したといっても誰の子だか分ったものではない、という意見を述べました。

四

十月の始めまで小夜子は、恋敵の出現を全く知らなかったようです。けれど勿論これは知らずにいるはずはありません。ふとしたことから春一の婚約の成立しそうなのを耳にしました。小夜子は黙って引き下ってはしまわなかったのです。そうしてその時小夜子のとった態度が――これは見方によって色々に考えられますが――余り穏かでなかったのです。

ここで一寸小夜子のことを申しておきましょう。彼女の家はS県の農家で、元より豊かではありませんでした。春一と同じ年の兄があるのですが、小さい時から手におえぬ人物で早く家を飛び出して上京し、方々渡り歩いた末、やや身が堅まって自動車運転手の免許を得、或る自動車屋に雇われていたそうです。