Classiques japonais avec furigana
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ひかくしんわがく
比較神話学
高木 敏雄
Lisez 比較神話学 (ひかくしんわがく) de 高木 敏雄 (たかぎとしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 624 caractères · 348 écrans
人間の想像力を、刺戟すること、大なる月光なり。月夜の白雲なり。赫夜姫も亦た、月夜に天を仰いで嘆じ、遂に月天使に迎えられて、昇天せしと云う。其基礎の月光或は月夜の白雲なること、疑を容れず。赫夜姫は月の子なり、之に反して、佐保山姫は太陽の子なり。其天然的基礎は、月光或は日光によりて生ずる霞なり。而して、之を女神とするは、霞の衣を織ると云うによる。龍田姫の女神たると、其趣に於て略同じ。『古今集』に、「山姫の霞の衣ぬきを薄み、山風にこそ乱るべらなれ」と詠じ、また「裁ち逢わぬ衣は誰も着ぬものを、何山姫に布晒すらん」と詠ずるもの、佐保山姫の天然的基礎の霞なるを、示すに足る可し。
謡曲『佐保山』は、支那神仙説の分子を含むこと多く、佐保山姫を以て、羽女天女の説話に見ゆる、天津少女と同一にして、月夜の歌舞音楽の事を記すも、此等の外来的分子を除去すれば、其他は純粋の国民神話にして、日の子佐保山姫の性質、甚だ明かに其中に現われたり。曲に見えたる山姫は、春の神にして、草木森羅万象の生育を司る。其山に晒せる白妙の衣、其身に纏える薄き衣は、即ち春の霞の標象にして、此点より見るときは、佐保山姫は此霞の神格化なり。