Classiques japonais avec furigana
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えどのかじゅつ
江戸の火術
野村 胡堂
Lisez 江戸の火術 (えどのかじゅつ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 929 caractères · 36 écrans
「己れッ」
「が、唯は殺さぬ、貴公の発明した大筒その尾栓が命にかけて確かかどうか、試して見るのが今より外には無い、丁度幸い、貴公をその大筒の尾栓にくくり付け、稲富流自慢の強薬で、五貫目玉を撃出して見る、尾栓が破れて、貴公の身体が微塵になれば、自業自得、大筒の悪いせいで、誰を怨みようもあるまい、若しまた、尾栓が無事で、貴公の命が助かったら、――その時はまた其時の考えようがある」
稲富喜三郎はズイと寄ると、縄付のままの井上半十郎を引っ立て、争い続くる半十郎をヘシ曲げるように、五貫目玉と強薬を装填して、口火を点ずるばかりに用意した大筒の尾栓に括り上げました。
「卑怯者ッ」
井上半十郎は血走る眼にハタと睨みましたが、今更争う愚かさを考えたか、思い直して眼を閉じました。尾栓は万に一つも破裂の心配はありません、その点は自信に充ち満ちた半十郎ですが、五貫目玉を発射した後で、いずれは生け置かれる自分ではないでしょう。
野心家で、その上卑怯者の稲富喜三郎が、謀反の陰謀を語り聞かせた上、自分の命を助けようとは、想像も出来ないことだったのです。
「よいか井上、観念せい」
火縄の匂いがプーンと鼻を打ちます。