Classiques japonais avec furigana
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さばくのびき
沙漠の美姫
国枝 史郎
Lisez 沙漠の美姫 (さばくのびき) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 658 caractères · 14 écrans
三
射ない者があったら叩っ切る』――で、或時猟に行った、そうしてヒューッ鳴鏑を射込んだ。但し腐木へ射込んだのであった。で、部下達の幾人かが、苦笑いをして射なかった。と、冒頓はその部下を斬った。又或時猟に行った時、冒頓は自分の愛馬を射た。と幾人かの部下達は、遠慮をして射なかった。で、冒頓はその部下を斬った。或時冒頓は愛妾を射た。とまた部下達は遠慮をして、愛妾を射ようとはしなかった。で冒頓はその部下を斬った。ここに至って冒頓の部下は、心からすっかり顫え上った。『もうよかろう』と冒頓は思って、或時猟へ行った時に、父の頭曼単于の冠を、鳴鏑を以て貫いた。と、部下達は一人残らず、頭曼単于の冠を射て、その冠を落としてしまった。と、冒頓は大笑したが、落ちた冠を自分の頭へのせた。自分が単于になったのだ。……この冒頓のやり口が即ち我々のやり口だ。真正面の力これ一つだ。一切そこには妥協はない」
三
生木と獣油と干した草とで、つくられたところの大篝火が、幕屋を深紅に照らしている。獣皮でつくられた天幕の襞が火気に煽られてうねうねと動いて、光と影とを織っている。そういう天幕をうしろにして、豹の毛皮を膝の下にして、胡座をしている呼韓邪単于が、羊の乳で醸したところの鬱金色のコス酒を角製の盃で、ゆるやかに口に運びながら、冒頓単于の古い物語りを