Classiques japonais avec furigana
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かはくれいじょう
河伯令嬢
泉 鏡花
Lisez 河伯令嬢 (かはくれいじょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 763 caractères · 68 écrans
小山夏吉は、炬燵に居直って言うのである。
「湖、沼、池の多い土地ですから、菖蒲杜若が到る処に咲いています。――今この襖へでも、障子へでも、二条ばかり水の形を曳いて、紫の花をあしらえば、何村、どの里……それで様子がよく分るほどに思うのです。――大笹の宿へ入っても、中庭の縁に添って咲いていたと申しましたっけ。
――杜若の花を小褄に、欠盥で洗濯をしている、束ね髪で、窶々しいが、(その姿のゆうにやさしく、色の清げに美しさは、古井戸を且つ蔽いし卯の花の雪をも欺きぬ。……類なき艶色、前の日七尾の海の渡船にて見参らせし女性にも勝りて)……と云って……(さるにても、この若き女房、心頑に、情冷く、言わむ方なき邪慳にて、)とのっけに遣ッつけたから、読んでいて吃驚すると、(茶を一つ給われかし、御無心)と頼んだのに、
(茶屋はあちらに。)――
と云って断ったのです。耳が聞えないんですから、その女は前途へ指さしでもしたらしい。……(いや、われらは城下のものにて、今度、浦々を見物いたし、またこれよりは滝谷の妙成寺へ、参詣をいたすもの、見受け申せば、我等と同じ日蓮宗の御様子なり。