Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほうそうやわ
法窓夜話
穂積 陳重
Lisez 法窓夜話 (ほうそうやわ) de 穂積 陳重 (ほづみのぶしげ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 325 caractères · 264 écrans
或時、有名な掏摸の名人が捕われたことがあった。裁判の前日、ムーアは密に彼に会って密計を授けた。明くれば裁判の当日である。かの判事は、例の如く先ず大喝一声被害者を叱り飛ばし、さて犯人の訊問に移った。犯人は神妙気に述べていう、「かくなる上は何事をか包みましょう。さりながら、ここに一つ何とあっても公言致し難い秘密がございます。これだけは何とぞ閣下の御耳に就いて申し述べさせて頂きたい」と、頻に願うので、判事はこの危険なる被告を身近く召し寄せて、何事をか聴き取った。
かくてこの日の裁判も終ったので、裁判官は一同休憩室に入って、四方八方の話に耽った。ムーアは突然例の判事に向って、「目下何々慈善事業のために義金募集の挙があって、我輩も既に寸志を投じたが、君にも御志があるならば御取次致そう」と言い出した。判事は早速承諾の意を表し、「それでは何分願います」と、ポケットに手を差し入れたが、忽ち周章の色を顕して、頻にあちこち掻き捜している。ムーアは、さもこそと打笑って、「君の懐中物は先ほどの耳打の際に既に被告の手に渡りました。これ君の不注意が自ら招いた禍であって、今更誰を咎めん途もありません」