Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どろぼうとわかとの
泥棒と若殿
山本 周五郎
Lisez 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 601 caractères · 41 écrans
――問屋の主人もそんな人間にしげしげ来られるのは迷惑だったろう、新三がたびたび、「こんな給金の安いところへ置くわけにあいかねえ」などと云うのを幸わい、二年たらずで態よく店からひまをだされた。
伝九郎は樽ひろいをした。子守りもした。石屋、左官、車屋、米屋、いろいろな家へ小僧にいった。だがそれは職をおぼえるためではない、年季奉公の約束で、さきに幾ら幾らと養父が金を取る、そうして少し経つとそこを逃げだすのである。つまり先取りの金が目的なのだ、――なかには奉公さきがよくって、逃げたくない、この家で暮したい、そう思うことがある。すると日本橋の問屋の例で、養父が毎日のように酔っぱらって来て、前借を増せとか、給金が安いとか喚きたて、店さきへ寝たり、暴れまわったりする、それでたいてい向うからひまがでた。
二十五で妻をもらったとき、伝九郎は本所で左官のてつだいをしていた。妻は居酒屋などにいた女らしく、養父が伴れて来ていつくようにさせたのであるが、以来、その長屋のひと間は博奕場のようになった。いつも妙な人間が出いりをし、夜どおし賽ころや花札の音がしていた。妻は伝九郎などそっちのけで、そのなかまと博奕を打ったり、酒の相手をして騒いだり、まるで夫婦というようなものではなかった。