Classiques japonais avec furigana
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らんぷはくらいかあかるいか
洋灯はくらいか明るいか
室生 犀星
Lisez 洋灯はくらいか明るいか (らんぷはくらいかあかるいか) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 053 caractères · 6 écrans
新橋駅に降りた私はちいさな風呂敷包と、一本のさくらの洋杖を持つたきりであつた。風呂敷包のなかには書きためた詩と、あたらしい原稿紙の幾帖かがあるきり、外に荷物なぞはなく、ぶらりと歩廊に出たときに眼にはいつたものは、煤と埃でよごれた煉瓦の色だつた。そのため構内はうすぐらく、東京に着いた明るい感じなぞはしなかつた。そのころ東海道は新橋が行きとまりになり、新橋が東京の大玄関だつた。美術学校の二年生である田辺孝次と幸崎伊次郎、それに吉田三郎が迎えに出ていた。田辺孝次はすこし帽子を前伏せにかむり、犀星とうとう出て来たなと云つた。幸崎伊次郎は鷹揚に笑つて犀星は大いにやりに来たんだね、なにか外の者にたいして弁護するような語調だつた。美少年の吉田三郎は新しい薩摩絣の単衣に袴をはいて、犀星はまた荒し廻つて歩くだろうと云つた。そして美という徽章のついた学帽をかむつた彼等が私よりどこか大人めいていることと、その大人めいているものに対抗できない泥くささを私は自分に感じた。彼等はあかるい電車に私を乗せてくれ、電車というものにはじめて乗つた私は、派手な女の人の服装をはじめて見て、まばゆい感じであつた。