Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lisez 海難記 (かいなんき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 628 caractères · 56 écrans
筏の上の人員はたえず後部から前部へ投げだされ、何人かがあッという間に波に持って行かれた。兵隊達は筏の縁辺を忌避して中央へ逃げて来、そこで、息のつけないほどにひしめきあった。そういう混乱の最中、絶望した十人ばかりの兵隊が、運命に鳧をつけるために、筏の破壊を企てた。モール人の黒人兵はとめようとする人々を薙倒し、斧で筏材の結束を切りだした。将校の一人が発見して、剣で一撃を食わした。
恐ろしいことがはじまった。将校下士官のブロックは、筏の中央部で方陣をつくり、近くにいる兵隊を誰彼なしに殺戮した。兵隊達は雪崩をうって筏の後部へ退却し、「死ぬなら、あいつらもいっしょに」と、大がかりに筏を壊わしはじめた。無手の兵隊は筏材の上に俯伏せになり、歯や爪で綱を※(「てへん+毟」、第4水準2-78-12)り切ろうとした。それを見るなり、一人の将校は刀を振りあげてそちらへ突進した。兵隊の一人は下士官から奪った刀で将校に斬りつけたが、将校は服を裂かれただけですみ、その兵を筏の縁へ追いつめ海に斬りこんだ。
闘争は全面的になった。暗黒のなかで惨澹たる殺し合いが展開された。兵隊のほうは数は多いがほとんどがみな無手なので、追々負け色になって後部に追いつめられ、防禦物でもなければ海に追い落されそうな状況になった。