Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わたりどり

渡り鳥

太宰 治

Lisez 渡り鳥 (わたりどり) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 707 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

どだい彼女は、小造りで若く見えるから、たすかる。

「田辺さん。」

うしろから肩を叩く。げえっ! 緑のベレ帽。似合わない。よせばいいのに。イデオロギストは、趣味を峻拒すか。でも、としを考えなさい、としを。

「どなたでしたかしら?」

近眼かい? 溜息が出るよ。

「クレヨン社の、……」

名前まで言わせる気かい。蓄膿症じゃないかな?

「あ、失礼。柳川さん。」

それは仮名で、本名は別にあるんだけれど、教えてやらないよ。

「そうです。こないだは、ありがとう。」

「いいえ、こちらこそ。」

「どちらへ?」

「あなたは?」

用心していやがる。

「音楽会。」

「ああ、そう。」

安心したらしい。これだから、時々、音楽会なるものに行く必要があるんだ。

「わたくし、うちへ帰りますの、地下鉄で。新聞社にちょっと用事があったもので、……」

何の用事だろう。嘘だ。男と逢って来たんじゃないか? 新聞社に用事とは、大きく出たね。どうも女の社会主義者は、虚栄心が強くて困る。

「講演ですか?」

見ろ、顔もあからめない。

「いいえ、組合の、……」

組合? 紋切型辞典に曰く、それは右往左往して疲れて、泣く事である。