Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lisez 渡良瀬川 (わたらせがわ) de 大鹿 卓 (おおしかたく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 280 528 caractères · 557 écrans

Aozora Bunko

正造は前にも漸く二十台の頃、領主六角家の払奸事件に奔走して家産を傾けたばかりでなく、数百両の負債まで残した。江刺の疑獄を出て帰郷して以来は、鋭意その負債の返済につとめて、ようやく家産をも旧に復すことができたばかりである。これを今また一家の事情をかえりみず、もう一度財産を犠牲にする許しを得ようという身勝手な願いである。正造の杞憂も実にこの点にかかっていた。

だが、父は正造の書いた文章を声に出して読みだしたのである。――正造には四千万の同胞あり、このうち二千万は父兄にして二千万は子弟なり、天はすなわちわが屋根、地はすなわちわが牀なり。――紙片を膝において正造を見すえた父の顔には、喜色さえ動いていた。

「お前にしてはできすぎた文句だ。志もたいへん結構だ。だが……」

年齢の錆がそのまま言葉の重味となっているような落ち着いた響だった。正造は思わず唾をのんで次の言葉を待った。

「古人も謂うは易く行うは難しといっている。果してお前に、どこまでも素志を貫く覚悟があるか」

正造は膝を乗りだして答えた。

「江刺獄中の三年有半は、私に嘗てない勉強の時間を与えてくれました。私は毎日毎夜のように、人間の生存の理由、人間の価値、人間の使命というようなことに就いて考えたのでした。