Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lisez 湖畔亭事件 (こはんていじけん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 335 caractères · 137 écrans
三造はただ咳払いの音を聞いて、それが河野であったと主張するのですが、人間の耳には随分聞き違いということもあり、まして、聞いた人が愚ものの三造ですから、これは無論何かの間違いでありましょう。しかし、その時浴場に何者かがいたことだけは、事実らしく思われます。三造は「あんなに湯を使う人はここの檀那の外にありません」といっています。では、それは河野ではなくて湖畔亭の主人だったのではありますまいか。
考えて見れば、あの影の男が落して行った財布も、その主人の持物でありました。尤も召使達が、主人の財布の紛失したことを知っていた位ですから、影の男と主人とが同一人物だと想像するのは無理でしょうけれど、三造の言葉といい、彼の一くせありげな人柄といい、そこに、何とやら疑わしい影がないでもありません。
しかし、何といっても最も怪しいのは例のトランクの紳士です。死体の処分……二つの大トランク、……そこに恐しい疑いが伏在します。では、三造の聞いた人のけはいは、河野でも、宿の主人でもなくて、やっぱりトランクの男だったのでありましょうか。
そのトランクの紳士については、警察の方でも唯一の嫌疑者として、手を尽くして調べたのですけれど、深夜湖畔亭の玄関を出てから、彼等がどの様な変装をして、どこをどう逃げたものやら、少しも分らないのです。