Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Lisez 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 57 666 caractères · 114 écrans

Aozora Bunko

」

これを読む人は、わたくしが溝の臭気と、蚊の声との中に生活する女達を深く恐れもせず、醜いともせず、むしろ見ぬ前から親しみを覚えていた事だけは推察せられるであろう。

わたくしは彼女達と懇意になるには――少くとも彼女達から敬して遠ざけられないためには、現在の身分はかくしている方がよいと思った。彼女達から、こんな処へ来ずともよい身分の人だのに、と思われるのは、わたくしに取ってはいかにも辛い。彼女達の薄倖な生活を芝居でも見るように、上から見下してよろこぶのだと誤解せられるような事は、出来得るかぎり之を避けたいと思った。それには身分を秘するより外はない。

こんな処へ来る人ではないと言われた事については既に実例がある。或夜、改正道路のはずれ、市営バス車庫の辺で、わたくしは巡査に呼止められて尋問せられたことがある。わたくしは文学者だの著述業だのと自分から名乗りを揚げるのも厭であるし、人からそう思われるのは猶更嫌いであるから、巡査の問に対しては例の如く無職の遊民と答えた。巡査はわたくしの上着を剥取って所持品を改める段になると、平素夜行の際、不審尋問に遇う時の用心に、印鑑と印鑑証明書と戸籍抄本とが嚢中に入れてある。