Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えぼしだけのちょうじょう

烏帽子岳の頂上

窪田 空穂

Lisez 烏帽子岳の頂上 (えぼしだけのちょうじょう) de 窪田 空穂 (くぼたうつぼ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 432 caractères · 15 écrans

Aozora Bunko

だが、逃げようとはしない。高山の偃松のなかにばかり住んでいる鳥は、人間という生物の、どういう感情をもっているものかを知らないようだ。その烏は、偃松に沿った岩のあいだを、無器用な恰好をして、歩きながら、下のほうへ、ほうへと、見えなくなって行った。

立ちつくしている私の眼の前に、今度は小さな獣があらわれて来た。それは二銭銅貨ほどの大きさの顔をもった、茶色の毛をもったものであった。その獣は、偃松の下から走り出ると共に、その顔をまともに私に向けた。痩せた、眼ばかりの顔のように私には見えた。見えると直ぐに隠れてしまった。

「栗鼠のようだった、」と思ったが、しかしからだは見えなんでしまった。

この二つの小さい生物のあらわれは、私を微笑させた。私は消え去った形を眼の前に保って、一人で微笑していた。

後ろから人が声を懸けた。それは堀君という、東京の学生であった。小林君と同じく、案内を共通にしているところから同行している人である。堀君も烏帽子岩へ登ろうとして来たらしかった。

無口な、それが似合わしいような表情をもった堀君は、今も微笑をたたえながら後ろを振り返った。私もそちらを見ると、小林君と案内と一しょに、偃松の上を渡ってこちらへ来る姿がかっきりと見えた。