Classiques japonais avec furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lisez 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 418 caractères · 79 écrans
赤猪口兵衛が不意に大声を揚げて燥ぎ出したので、半三郎は面喰らったらしい。両手を膝の上に置いたまま赤くなり、又青くなった。
「ああ。目出た目出たの櫛田の銀杏、枝も栄ゆれあ葉も茂る……と……。ああ。これで何もかも取戻いた。ああ清々した」
中腰になって浮かれ立つ赤猪口兵衛の顔を茫然と見上げている半三郎の顔を、あべこべに見下しながらヤット腰を卸した赤猪口兵衛は、汚ない膝小僧を一層大きく剥き出しながら詰寄った。
「半三郎様……」
「ハイ……」
「しっかりなされませ」
〔以下原稿用紙で二枚分欠落〕
青くなったまま両手を突いて聞いていた半三郎は、そう言ううちにポタリと一雫、涙を両手の間に落した。猪口兵衛はちょっと張合いの抜けた顔になったが、すぐに額を撫でて高笑いをした。
「アハハハハ。お熊さんに気の毒と仰言りまするか。アハハハハ。御尤も御尤も」
頭を下げたままの半三郎の眼から又も涙がハラハラと落ちた。猪口兵衛はいよいよ高笑いをした。
「アハハハ。これは又お義理の固いこと……有体な事を申しますると、この御心配ばかりは御無用になさいませ。義理も張りも相手によりまする。蔵元屋に限って御尽しになる義理張りは盗人に追銭も同様……」