Classiques japonais avec furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lisez 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 598 caractères · 182 écrans
安物のように思われる。桃山時代の名手によって、描かれたとかいう六枚折りの屏風が、いつもは部屋に立てられてあったが、今は姿が見られなかった。異国製だとかいうビードロ細工の、旦那の自慢の燈籠があって、庭裏に向いた高い鴨居から、いつもキラビヤカに下っていたが、今はそれさえ見られなかった。
(そう云えば奥様の髪飾りなども、金目の物から一つ一つ、いつの間にか行衛が知れなくなった)
部屋の中をジロジロ見廻していた京助の優しい心配らしい眼が、自分の膝の上へ落ちた時に、また京助は溜息を洩らした。
(一体奥様という人は、奥様らしくないお方だ。お妾さんのようなところがある。でもそれは奥様がお悪いのではなくて、旦那様のやり口がお悪いからだ。本宅の方へ奥様を入れて、内所向きのことを一切合財、奥様にお任せしようとはせずに、本宅の方は古くからいる先の奥様の時代からの、年老の頑固のしみったれの、女中頭に切り盛りさせて、今度の奥様には手もつけさせない。こんな所へ寮を建てて、そこへ奥様を住まわせて、あてがい扶持をくれて飼って置かれる。……だから奥様にしてからが、お心が面白くないはずだ。