Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
びょうしつのげんえい
病室の幻影
豊島 与志雄
Lisez 病室の幻影 (びょうしつのげんえい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 426 caractères · 11 écrans
広い病室。一方の壁に沿って寝台があり、窓の方を枕に一人の患者が眠っている。少し離れて、二脚の椅子が窓際に並んでいる。他方の壁に沿って、入口の扉に近く、床に二枚の畳敷があり、年若な女と看護婦とが、布団を並べ小さくなって眠っている。次に大きな瀬戸の火鉢があって、洗面器がかかって湯気が立っている。次に窓に片寄せて小形の卓子があり、花籠や果物籠や薬瓶やコップの類が雑然とのっている。窓には白いカーテンが下してある。電灯に黒い紗の覆いがしてあって、室の中は薄暗い。真夜中過ぎの静けさ。窓際の二脚の椅子に、ぼんやり人影が現われる。一人は肥っており一人は痩せているが、どちらも同じ顔立で、同じく小洒の白い寝間着を二枚重ね、同じく小洒の広帯を前に結び、同じく患者の方をじっと見つめている。そして静かな声で話し出す。
A――お前はいつも痩せて悲しそうな顔をしているね。
B――お前はまた、いつも肥って嬉しそうな顔をしているね。
A――そうさ、俺は嬉しいのだ。
B――俺は悲しいのだ。
A――だがお互に、もう幾日の生命でもない。屹度恢復するなどと、医者は気安めなことを云ってるが、そうでないことを、俺はよく知っている。