Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans
―――あの時分には今夜のようにして寝たじゃないの」
私はナオミにそう云われると、ああそうだったか、そんな時代もあったんだっけ、あの時分にはお互に純なものだったのにと、ホロリとするような気になりましたが、これは少しも今の私の愛慾を静めてはくれませんでした。却って私は、二人がいかに深い因縁で結び着けられているかを思い、到底彼女と離れられない心持を、痛切に感じるばかりでした。
「あの時分にはお前は無邪気なもんだったがね」
「今だってあたしは至極無邪気よ、有邪気なのは譲治さんだわ」
「何とでも勝手に云うがいいさ、己はお前を何処までも追っ駈け廻す積りだから」
「うふふふ」
「おい!」
私はそう云って、壁をどんと打ちました。
「あら、何をするのよ、此処は野中の一軒家じゃあないことよ。何卒お静かに願います」
「この壁が邪魔だ、この壁を打っ壊してやりたいもんだ」
「まあ騒々しい。今夜はひどく鼠が暴れる」
「そりゃ暴れるとも。この鼠はヒステリーになっているんだ」
「あたしはそんなお爺さんの鼠は嫌いよ」
「馬鹿を云え、己はじじいじゃないぞ、まだやっと三十二だぞ」
「あたしは十九よ、十九から見れば三十二の人はお爺さんよ。