Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まよなかかられいめいまで

真夜中から黎明まで

豊島 与志雄

Lisez 真夜中から黎明まで (まよなかかられいめいまで) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 992 caractères · 4 écrans

Aozora Bunko

その帷の襞や裾の奥から、無数の神秘な眼がじっと覗き出す。凡て物影に潜んでいるもの、人の眼につかないもの、形も色も音もない幽鬼の気、この世のものでないものが、空に地に浮動し彷徨する。而もそれはただ魂に感ぜらるるだけで、其処から来る魂の慴えも手伝って、官能の対象たる沈黙と静寂とは、層々とつみ重った深みを倍加する。地上の生ある物皆は、人も獣も草も木も、そういう深みの底に沈み溺れて、蠱惑的な窒息に眠り入る。それはまさしく、寂滅の時、逢魔の時、呪咀の時、丑時参りの時刻である。露や霜も降りるを止める、時間も歩みを止める、死と神秘との時間である。ただ時計の針の止らないのが不思議である。

そして、冬ならば四時頃、夏ならば三時頃、突然或る物音が響く。身震いに似た木の葉の戦き、ぽーと尻切れの汽笛の音、無意識的な犬の遠吠、または何物とも知れぬ擾音、それらの一つがふいに何処からともなく起ってくる。それが相図である。沈黙と魔睡との底に凝り固っていた万象が、一斎にぞっと総毛立ってくる。星の光がぎらぎらとした凄みを帯びる、月の面がまざまざと磨き澄される。或は濃く淀んだ闇がむくむくと動き出す。