Classiques japonais avec furigana
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まよなかかられいめいまで
真夜中から黎明まで
豊島 与志雄
Lisez 真夜中から黎明まで (まよなかかられいめいまで) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 992 caractères · 4 écrans
空には星の囁き、地上には遠く応え合う反響、そして一際高く、鶏の声、車の響、汽笛の音、それらの底に籠ってる人声。一時のとろりとした仮睡からはっと眼覚めて起き上る、万象の寝間着の衣摺れの音である。仄暗い夢と輝かしい幻とが入れ代る気配である。新たに立上ってくるその幻は、物の隅々まで訪れて、凡ての閉じてる眼を見開かせる。爽かな空気が空に地に流れる。草木の葉末には露や霜が繁く結ばれる。夜を徹してる者は、じっと坐についておれなくなって、故もなく立上って歩き出す。そして試みに窓を開けば、東の空には薄すらと紫の色が流れていて、それが見る見るうちに紅色を帯びると共に、遠く聞えていた仄かな擾音が、いつしか騒然たる反響に高まってきて、人の足音、小鳥の歌、星の最後の閃めき、そして地上の万物が、蒼白い明るみのうちに形を浮出して、その上を、触れなばさらさらと音を立てそうな爽かな空気が、夜の闇と夢とを運んで流れてゆく。立並んだ人家はまだ黙々と眠っているけれど、その中に在るものは、もはや夜の夢ではなくて、新たな一日の幻影である。空には清い日の光が放射し、地上には輝かしい生活が初められている。