Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ままのてこな

真間の手古奈

国枝 史郎

Lisez 真間の手古奈 (ままのてこな) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 631 caractères · 10 écrans

Aozora Bunko

一

一人の年老いた人相見が、三河の国の碧海郡の、八ツ橋のあたりに立っている古風な家を訪れました。

それは初夏のことでありまして、河の両岸には名に高い、燕子花の花が咲いていました。

茶など戴こうとこのように思って、人相見はその家を訪れたのでした。

縁につつましく腰をおろして、その左衛門という人相見は、戴いた茶をゆるやかに飲んで、そうして割籠のご飯を食べました。

その家はこのあたりの長者の家と見えて、家のつくりも上品であれば、庭なども手入れが届いていました。

「よい眺めでござりますな」

お世辞ともなくこのようにいって、生垣の向うに眺められる八ツ橋の景色を眺めおりました。

左衛門はその頃の人相見としては、江戸で一番といわれている人で、百発百中のほまれがありました。人相風采もまことに立派で、人の尊敬を引くに足りました。で、山間や僻地へ行っても、多くの男女に尊敬され、いつも丁寧にあつかわれました。

この時も左衛門は名のりませんでしたが、神々しい人相や風采のために、その家――泉谷という旧家でありましたが――その泉谷の家族達によって丁寧な態度であつかわれました。