Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
め
眼
徳永 直
Lisez 眼 (め) de 徳永 直 (とくながすなお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 671 caractères · 10 écrans
「ね、あんた、今のうち、尾久の家(親類)へでも、行っちゃったがいいと思うんだけど……」
女房のお初が、利平の枕許でしきりと、口説きたてる。利平が、争議団に頭を割られてから、お初はモウスッカリ、怖気づいてしまっている。
「何を……馬鹿な……逃げ出すなんて、そんな……アッ、ツ、ツ」
眼をむいて、女房を怒鳴りつけようとしたが、繃帯している殴られた頭部の傷が、ピリピリとひきつる。
「だってさ、あんた……」
お初は、何かに追ったてられるように、
「あんた、争議団では、また今朝、変な奴らが、沢山何ッかから、来たんだよ………あんな物騒な奴らだものあんた、ほんとうに、命でもとり兼ねないよ……あれ、ホラ、あんな沢山ガヤガヤ云ってるじゃないの、聞えない?」
聞えないどころか、利平の全神経は、たった一枚の塀をへだてて、隣りの争議団本部で起る一切の物音に対して、測候所の風見の矢のように動いているのだ。
ナ、何を馬鹿な、俺は仮にも職長だ、会社の信任を負い、また一面、奴らの信頼を荷のうて、数百の頭に立っているのだ……あンな恩知らずの、義理知らずの、奴らに恐れて、家をたたんで逃げ出すなンて、そんな侮辱された話があるものか。