Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

Lisez 硝子戸の中 (がらすどのうち) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 52 702 caractères · 105 écrans

Aozora Bunko

私の心に映るあの紺無地の絽の帷子も、幅の狭い黒繻子の帯も、やはり嫁に来た時からすでに箪笥の中にあったものなのだろうか。私は再び母に会って、万事をことごとく口ずから訊いて見たい。

悪戯で強情な私は、けっして世間の末ッ子のように母から甘く取扱かわれなかった。それでも宅中で一番私を可愛がってくれたものは母だという強い親しみの心が、母に対する私の記憶の中には、いつでも籠っている。愛憎を別にして考えて見ても、母はたしかに品位のある床しい婦人に違なかった。そうして父よりも賢こそうに誰の目にも見えた。気むずかしい兄も母だけには畏敬の念を抱いていた。

「御母さんは何にも云わないけれども、どこかに怖いところがある」

私は母を評した兄のこの言葉を、暗い遠くの方から明らかに引張出してくる事が今でもできる。しかしそれは水に融けて流れかかった字体を、きっとなってやっと元の形に返したような際どい私の記憶の断片に過ぎない。そのほかの事になると、私の母はすべて私にとって夢である。途切れ途切れに残っている彼女の面影をいくら丹念に拾い集めても、母の全体はとても髣髴する訳に行かない。その途切途切に残っている昔さえ、半ば以上はもう薄れ過ぎて、しっかりとは掴めない。