Classiques japonais avec furigana
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「ねぎさまみやた」そうさくメモ
「禰宜様宮田」創作メモ
宮本 百合子
Lisez 「禰宜様宮田」創作メモ (「ねぎさまみやた」そうさくメモ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 713 caractères · 14 écrans
桑野村にて
○日はうららかに輝いて居る。けれども、南風が激しく吹くので、耕地のかなたから、大波のように、樹木の頭がうねり渡った。何処かで障子のやぶれがビュー、ビュービューと、高く低くリズムをつけて鳴って居る。祖母が、因果なような音を立てて居ると云ったのが、いかにも適切な程、その音は、弱々しく陰気でありながら、絶え間ない執ねさで鳴って居る。
○地面と云う地面は到るところ、ゆるんでぬかって居る。
黄色な草の間を縫うて、まがりくねった里道には、馬のひづめのあとに轍が、一寸も喰い込んで、滅茶滅茶について居る。歩くのにも足駄でなければ、足の上の方までよごれる。
けれども村の者達は、此の困難な往還に対して、何の不服も感じないのみか、却って、一種のよろこびさえも感じて居る。春の暖さが、地面の底から、しんしんとわき出して、永い冬の間中、いてついて、下駄の歯の折れそうになって居た土を、やわらげて行くからなのである。
子供達は、背中まで、大きな はね を上げながら、いつともなし足袋をぬいだ足を、思うさまよごしては、気違いのようにはねくり廻って居る。
○池の水はすっかり増して、冬の間中は、かさかさにむき出て居た処にまで、かなり深く水がたたえられて居る。