Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゅうふうふき
秋風不帰
山本 周五郎
Lisez 秋風不帰 (しゅうふうふき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 593 caractères · 28 écrans
お高はふと眼のふちを染めながら、なにか溢れるような眸で夏雄を見上げた。
そういう露わな凝視がどんな意味をもつか、まるで知らないらしい。年から云えばもう立派な娘になっている筈なのだが三年このかたの苦辛の生活は彼女の心を身体と一緒に育てる暇がなかったのであろう、……それだけに却ってひたむきな、大胆な凝視は夏雄を狼狽させた。
「さあ、拙者も川へ行って旅の垢を洗って来よう。それから食事だ」
夏雄は自分の感動を隠すような声で云った。
谿流の水は冷たかった。しかしその冷たい沐浴は彼の心を新しくした。寝苦しかった一夜の疲れがさっぱりと抜けて、生死を超脱した気持は清々しいくらい張りを持って来た。
――こんな気持で腹を切りたいな。
平静にそんなことさえ、考えられたのである。その日は一日、谷を見下す崖の上で暮らした。いつ吉郎兵衛が来るのか分らなかったからである。しかしすっかり暗くなって人の姿は見えず、折悪く時雨れて来たなかを夏雄は家へ帰った。
雨は明くる日も降り続いた。
その雨のなかを、午過ぎの四時頃になって一人の下郎が訪ねて来た。蓑笠の滴も払わず、よほど急いでいる様子で、