Classiques japonais avec furigana
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しゅうふうふき
秋風不帰
山本 周五郎
Lisez 秋風不帰 (しゅうふうふき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 593 caractères · 28 écrans
兄伊兵衛は非番で家に居たが、即日切腹を命ぜられて自殺、食禄召上げ家名断絶、しかも……旅中の夏雄にも、放し討ちという処断が発せられたというのである。
「……おまえは」
暫くして夏雄は眼をあげた。
「どうして、それを知っているのだ」
「はい、わたくしはお屋敷にいたのです、若さまはお忘れでございましょうか」
「屋敷にいた?」
「下男の嘉右衛門の娘でございます」
夏雄は眼を瞠った。……云われて初めて気付いたのである。少年の姿こそしているが、眼許や体つきにどことなく、しんなりしたふくらみがあるとは思っていた。なるほどよく見直してみれば、襤褸を着た胸元から腰へかけての、円みを帯びた弾力のある線や、短く切って男結びにした髪も艶々と美しい。
嘉右衛門は実直者で、夏雄の少年時代にはよく外出の供をした。娘が一人あったことも覚えている。夏雄が旅に出る頃は、庭の柿の木になど登って、叱られていた乱暴の少女だった。……するともう十七か八になっている筈だ。
「嘉右衛門の娘か、……そうだったか」
「名はお高と申します」
娘は名乗ってから、急に言葉つきまで違って来たし、ゆきたけの合わぬ着物の、衿や褄を恥しそうに引合せるのが、男姿だけ余計に、清純ななまめかしさを帯びている。