Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるゆうかくでのできごと

空にむかひて

若杉 鳥子

Lisez 空にむかひて (あるゆうかくでのできごと) de 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 677 caractères · 46 écrans

Aozora Bunko

F楼からひかれて投獄された彼の男は、再びこの社会に放たれたのだった。

来て見るとF楼には九重はいなかったが、その隣のH楼に、九重の妹のみどりという女がいた。

この両女は福島地方の農村から、親兄弟の為に売られて来たものだった。

姉妹とも取りたてていう程の美人では勿論ない、けれどもどちらも共通したセンジュアルな容貌の持ち主だった。

そのH楼のみどりの許に、此頃足繁く通って来て豪遊する客があった。

それは二三年前、F楼にいた姉を買った、強竊盗常習犯の彼であろうとは、みどりは少しも知らなかった。

譬えそれを知っていた処で、拒み得ないのが彼女の境遇ではあったが、遊びぶりの大名のような寛大な処のある彼に、みどりは職業相当の笑顔は向けていた。然し彼の素性が何時迄も耳に入らない筈はない。警察から楼主へ、楼主から朋輩へ――、

『みどりさんのあのお客は、大へんな大泥棒だって、ああこわい、こわい。』

本人のみどりよりも朋輩達が、彼の入って来る顔を見ると、皆一所に寄り添うようにして、露骨に恐怖と憎悪とを表した。

そういう事に敏感ででもあろう彼は、H楼全体の自分への仕向けが、癪に障っている処へ肝心のみどりは、何時も病気だと称して姿を匿してしまうようになった。