Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たちがれ
立枯れ
豊島 与志雄
Lisez 立枯れ (たちがれ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 613 caractères · 41 écrans
ないものが、風に吹き起された埃のように流れていて、どこからともなく、まるで夢のように、雨の粒がぱらぱらと落ちてきてはまた止むのだった。その幾筋かの白い雨脚が、街路の暮色を際立たせて、物の輪廓がへんにぼやけ、向うから来る人の顔などは、よく見分けがつかなかった。だが、そのカーブの内側の歩道の向うからぽかりと浮出してくる顔のうちに、見覚えのあるのがあって、彼に――中江に――じっと視線を据え、次第に近寄ってき、誰だか分らないがたしかに知ってる顔で、それが、彼をみつめたまますぐま近になって、首をさしのべて覗きこもうとするほどのところで、すっと行き過ぎてしまった。振向くのも忘れて、はて……と真直を向いたまま考えていると、また、見覚えのある顔が出てきて、前のと同じだかどうだか分らないが、たしかに知ってる顔で、彼の方にじっと眼をつけ、次第に近寄ってき、覗きこもうとするほどのところで、すっと行き過ぎてしまう。そのとたんに、こんどは振向いて見ようと思うのだが、その勇気がなく、別に気恥しいことも後ろ暗いこともあるわけではないが、彼はそこの電柱にもたれて立止り、そのままずるずると腰をすべらして、屈みこんでしまったのである。