Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かさおりはんくろう

笠折半九郎

山本 周五郎

Lisez 笠折半九郎 (かさおりはんくろう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 004 caractères · 26 écrans

Aozora Bunko

「小次郎、かたじけない」

半九郎はひと言、呻くように云うと、友の差出した包を取ってひらいた、夢中だった、踏込み袴、定紋付きの胸当、羽折、兜頭巾、それに腰差し提燈まで揃っている、彼はそれを身に着けながら、

――やはり友達だった。

となんども胸いっぱいに叫んだ。

弥五兵衛が提燈に火を入れるのを、ひったくるようにして外へ出た、表には馬が二頭繋いであった、二人は轡を並べて駆けだした。……往還へ出るとはじめて烈風を感じた。半九郎は空を焦がすような遠い火を睨んで、容赦もなく馬に鞭を呉れながら疾駆した。心は湯のような感動でいっぱいだった、宵のうちの悔恨はもう無かった。男同志の友情の有難さが、ただそれだけが、彼の全身の血をかきたてた。

大番町へ入ったところで二人は馬首を分った、半九郎は西丸口へ、小次郎は大手へ。

「小次郎!」

別れるとき半九郎が叫んだ、

「忘れぬぞ!」

小次郎は振返った。にっと僅に笑った白い顔が、半九郎の眼に鮮やかな印象を焼きつけた。彼はそのまま馬を煽って行った。

明暦元年十一月十九日早朝四時、和歌山城西丸御門の外にある都築瀬兵衛の屋敷から出た火は、おりからの烈風にみるみる燃え拡がり、一方は武家屋敷から町家の方へ延び、一方は西丸の門から城へと移った。