Classiques japonais avec furigana
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はですがたまんねんわかしゅ
艶容万年若衆
三上 於菟吉
Lisez 艶容万年若衆 (はですがたまんねんわかしゅ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 800 caractères · 67 écrans
此の侍、いかなる身元かと言うと、当時時めく名医、典薬左井黙庵の次子、不二之進、代々の医業を嫌って、菱川派の流れを汲んだ浮世絵ぶりに大名を馳せ、雅号を露月と名乗って、程近い徒士町辺に閑居を構え、数寄風流の道に遊んでいるものでありました。
この露月の、萎れ屈している逍遙に、満更理由のないわけでもありませぬ。遅れ咲きの八重ざくらが、爛漫として匂う弥生のおわり頃、最愛の弟子君川文吾という美少人を失って、悲歎やるせなく、この頃は丹青の能をすら忘れたように、香を拈じて物を思い、物を思うに疲れては、あてもない散策に、惜しむも甲斐のない死別の哀愁を、振り捨てようとするのでありました。
うなだれ屈んだ露月のすがたが、恰度池の西北の、榊原屋敷に沿うた曲浦のあたりにさしかかった頃でした。折しも湯島台から、近道を、上野山内へと急ぐ人と見えて、大なし絆纒、奴姿の僕を供につれた若衆ひとりと、袖擦り合わんばかりに行き違ったのであります。
哀愁にとざされた露月は、行き違うまで、その人の姿にも気がつかなかったのでしたが、ふと、鼻を撲つ好もしい香りに、編笠をかかげて見返えりますと、僕の肩にかたげられたは、今剪り前ての園咲の白つつじが、白く涼しく匂っているのです。