Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

「それが、専売局じゃったとけえ?」

と、母イワが、身体を乗りだす。

「そうよ。どがあしたわけか知らんが、腑抜けのようになってな、旦那が声をかけても、返事もせんし、フラフラッと立ちあがって、なんべんか倒けながら、川の岸をユウラユラ、酔いどれみたいに、歩いて行ったというわい」

「どっちの方に?」

マンは、切迫した声できいた。

「柿ノ坂の方じゃ。狐に化かされとっても、駐在所に帰る方角だけは、知っとったとみえるのう。服は泥だらけになっとったというが、そんなことも気づかん風じゃったらしい」

「カバンは持って居らんじゃったけえ?」

「カバン? それまでは聞かんじゃった」といったが、ふっと、不審そうに、「マン坊は、どうして、鬼がカバンを持っとったこと、知っとる?」

「いンね、……役人さん、いつも黒いカバン持っとるけえ、どうしたか、と、ちょっと思うたもんじゃけえ……」

マンは、どぎまぎと答えた。

水車小屋の事件を、マンは父に話さなかった。誰にも話さなかった。盆踊りの晩、村長の二男坊から手ごめにされかけたことは、すぐに、父に打ちあけたのに、今日、ふたたび、同じ目に逢いながら、これは隠した。