Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

盆のとき、父から、「これからも、そんなことはある。よう覚えとけ」といって、教えられた女の護身法を、習ったとおりに実行したのであるから、手柄顔で報告してもよいのに、マンは沈黙を守った。はからずも、危険から身を守ることができはしたけれども、その方法は、純真で一本気な若い娘を、はげしい羞恥におとしいれたのである。得々と報告するどころか、真実を知られることを恐れた。マンに、新しい一つの秘密ができた。

けれども、また、別にマンの心の奥底に、奇体な力が生まれていた。

――女でも、必死になれば、自力で、男に負けぬ仕事をすることができる。

その、胸のふくらむような、自覚と、自信とであった。

一週間ほどが、過ぎた。

村の煙草工場の開所式が、盛大におこなわれた。貧乏部落のくせに、なにかの行事は派手にしたがる癖があって、この工場開きの日は、まるで、お祭騒ぎであった。

「こんな名誉なことは、なあよ。これで、わしも、もう、いつ死んでもええ」

村長は、禿げあがった頭をたたいて、本心から、そういった。まだ電燈もつかない、こんな山奥の村に、政府の指定機関が出来たことは、村長にとっては、一世一代の晴れであったかも知れない。