Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
(憎い恋敵奴)
景気づけに、強いて、時次郎は、心の中で、呟く。嫉妬の感情に変りはない。けれども、軽侮と憎悪の念は、いつか、影をひそめているのである。といって、マンを、あきらめる気持はなく、
(なにがなんでも、マン坊は、おれのものにするんじゃ)
と、時次郎は、力みかえるのだった。
時次郎は、マンの方を、そっと、見た。同じ艀の中で、雁爪を持って、せっせと、入れ鍬をしている。その甲斐々々しい働きぶりは、たしかに、時次郎のことなどは念頭になく、玉井金五郎のこの大切な仕事へ、全心全力を傾けて、協力している姿にちがいなかった。
マンは、ときどき、汗をふき、仕事の手を休めて、デッキの上の金五郎を見る。時次郎の方は、一度も見向きもしない。
印半纏をぬいだ金五郎は、丼のある紺の腹掛けの両側に、腕をむきだしにしている。その左腕に躍っている昇り龍が、朝の光線に、青々と浮きあがり、眼を光らして、荷役の采配を振っているかのようだった。
「そら来い。そら来い」
金五郎の声は、弾んでいる。
(あの男、パナマ丸の荷役の後で、おれとマンとを成敗するというたが、ほんとに、おれを斬りはせんじゃろか?)