Classiques japonais avec furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
そのことが、時次郎は、急に心配になって来た。
「珍しい荷役じゃなあ」
船長も、会社の本船係りも、感心したように、眺めている。
普通、荷物炭荷役の場合には、舷側に、棚は吊らない。雛壇をこしらえて、天狗取り作業をやるのは、焚料炭の場合に限られていた。それを、今日、特に、棚を吊ったのは、敵の裏をかく作戦である。たしかに、燈台沖までも漕ぎだして、危険をかえりみず、棚を吊っておいたおかげで、敵は手出しが出来なかったのである。
荷物炭は、艀から、本船へ、長い歩板をかけ、その上を登り降りして、振りわけにした担い籠で、積みこむのが通常だ。金五郎の苦肉の策にしたがって、今日は、二通りの荷役が、同時に、行われているのだった。これには、人数を多く要するけれども、荷役の能率は倍に近かった。
一千トンもの仕事は、一日では終らず、掛かってから三日目に、ようやく終了した。
この間、妨害に対する警戒が、充分になされていたが、友田喜造からも、ドテラ婆さんからも、平尾角助からも、なんらの不穏な働きかけはなかった。静かなのが、かえって、不気味なくらいである。問題が大きくなりすぎて、警察が干渉して来たためであったかも知れない。