Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

お京は、ふるえる手で、おれの左腕の龍の鱗に彫りこんどった、「京」という自分の名を、消してしもうたんじゃ」

そこで、ちょっと、言葉が切れた。

しいんとなる。それこそ、真の闇であって、なに一つ識別することが出来ない。秒を刻む時計の音に、ときどき、ミシミシ、と、家のどこかが鳴る音だけだ。

金五郎の声が、また、暗黒のなかで、おこった。息苦しそうな調子である。

マンは、全身を耳にした。

「おれは、お葉から呼ばれて、別室に行った。お京の家は浅草の千束町にあった。なにをしとるやらわからんような、植込みの深い、黒板塀の家で、古い建物じゃけんど、割方、大きな二階家じゃ。稽古場のあるところを見ると、お葉が踊りの師匠でもやっとるんじゃろう。

お葉はうす化粧して、銀杏返しの髪を結うとる。おまけに、元禄の着物を着て、それが、昔、お京の着とったもんちゅうことは、じき、わかった。なんば親子というても、こげえも似るもんじゃろか? そっくり、……というよりも、若いお京がおれの前に居るごとあって、おれは胸がドキドキした。おれは、思うた。

(おれが芝居気があって、よう、つまらん芝居をするが、お葉も、大層、芝居気があるわい)