Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

Lisez 菊千代抄 (きくちよしょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 178 caractères · 72 écrans

Aozora Bunko

「お可哀そうに、菊さま……お可哀そうに」

そうして眼からぽろぽろ涙をこぼした。

菊千代は身の縮まるほど不快で、いやらしくて、早くそこを逃げだすことばかり考えていた。母の顔などは見ようともせず、隅のほうで老女たちの啜りあげる声さえ、そらぞらしいと思ったくらいであった。

母の葬儀が終り、必要な忌日が済むまで、菊千代は約三月あまり上屋敷にいた。

このあいだに妹たちとかなり親しくなったが、なついてくる鶴子よりも、佳玖子という三つの妹が好きで、その子とだけいちばんよく遊んだ。鶴子、貞子、淑子までが滋松院の子で、佳玖子はその後まもなく死んだ月照院という側室の子であった。もちろん生母の違うことで愛情の差をつけたわけではない、佳玖子はまるまるとよく肥えて、いつも眼を糸のようにしてにこにこ笑い、おぼつかない片言で絶えず面白いことをいう、それがひじょうに可愛かった。いつか御殿の広縁で昏れがたの月を観ていた。七日か八日くらいの欠けた月であったが、ふとまじめな顔をし、菊千代のほうを見あげて云った。

「喰べかけでおやめにするの、いけないのね、たあたまおこごりになるのね」

おこごりはお怒りのことである。