Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

Lisez 菊千代抄 (きくちよしょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 178 caractères · 72 écrans

Aozora Bunko

「――申上げることはできません」

菊千代は冷淡に答えた。

「――もしそれで済まないのでしたら、菊千代の命をお召し下さい」

貞良は白い歯をみせた。叫ぼうとしたらしい。だが急に表情を変え、むしろ好奇的な眼で、まるで初めて見るかのようにじっと、かなりながくこちらの顔に見いった。

「――では半三郎を手にかけて、少しも悔いることはないのだな」

「半三郎がそれを知っていたと思います」

「――自分でしなければならなかったのか」

「わたくしが致さなければなりませんでした、わたくしと彼と、二人だけの事でございますから」

貞良は貞良として、なにごとか納得したようである。こんどの事は然るべく始末をする、今後は固く慎むようにといって、そのまま座を立とうとした。菊千代は言葉を改めて、――弟が生れたのだから、自分は世子の位地をぬけたものと思っていいかときいた。

「三月には将軍家の日光御参拝がある、それが済めば正式に届け出る筈だ」

「ではそれが済めば、菊千代のからだは好きに致してよいのでございますか」

「――好きにするとは」

「菊千代は、生涯、男のままで生きたいと思います、いつぞやお約束の分封のことも、頂けるものと思っていてようございましょうか」