Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きくづきよ

菊月夜

山本 周五郎

Lisez 菊月夜 (きくづきよ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 129 caractères · 32 écrans

Aozora Bunko

「あなたは、松谷がどうなったかご存じないのですか……」

「あらましは江戸で噂を聞きました、権太夫どのが狂死して、ご家族は追放になったと、それだけは聞いています」

「それをご承知なら、もうあの約束のことは心配なさらなくとも……」

「いやそれは違いますよ」信三郎はしずかに頭を振った。「たとえ権太夫殿が狂死し遺族がご追放になったとしても、小房どのとわたくしとの約束は四年まえからのことで、それとは関係がないと思います」

「それは、そのとおりです……」母親はしずかに頷いた。「武士と武士との約束でもあり、小房どのに罪があったわけではないのですから、……お父上もわたくしもそのつもりで、ご追放と聞いたときすぐ小房どのをこちらへお引取り申すつもりでした、けれどそれがだめだったのです」

おなじ家中で納戸奉行を勤めていた松谷権太夫には、男子がなく、小房という娘がひとりいた。すぐれて美貌だというほどではなかったが、魅力のある顔だちと怜悧な気質とでなかなか評判が高かった。四年まえ、信三郎が江戸へ出ることにきまるとすぐ、小房とのあいだに縁談がまとまり、彼の任務が終って帰藩したあかつきには入婿するという約束ができたのである。