Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lisez 蓼喰う虫 (たでくうむし) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 110 066 caractères · 216 écrans
大阪のはこんな精巧な仕掛はありません、女形の眼なぞは動かないのが普通ですが、淡路のは女形でも眼瞼が開いたり閉じたりしますと、この島の人は自慢をする。要するに芝居全体の効果から云えば大阪の方が賢いけれども、この島の人たちは芝居よりもむしろ人形そのものに執着し、ちょうど我が児を舞台に立たせる親のようないつくしみを以て、個々の姿を眺めるのであろう。ただ気の毒なのは、一方は松竹の興行であるから費用も十分に懸けられるのに、此方は百姓の片手間仕事で、髪の飾りや着附けがいかにも見すぼらしい。深雪でも駒沢でもずいぶん古ぼけた衣裳を着ている。しかし古着好きの老人は、
「いや、衣裳は此処の方がいいよ」
と云って、あの帯は昔の呉絽だとか、あの小袖は黄八丈だとか、出て来る人形の着物にばかり眼をつけて、さっきからしきりに垂涎している。
「文楽だって以前はこんな風だったのが、近頃派手になったんだよ。興行のたびに衣裳を新調するのもいいが、メリンス友禅や金紗ちりめんみたいなものを使われるんじゃ、打ち壊しだね。人形の着附は能衣裳のように古いほど有難味がある」
と、そう老人は云うのである。