Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Lisez 蓼喰う虫 (たでくうむし) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 110 066 caractères · 216 écrans

Aozora Bunko

「うまそうだな、それは」

「ええ。うまいわよ、なかなか」

「その小さいのは何だろう」

「これ? これは肝臓のソーセージ。神戸の独逸人の店のよ」

「お客様にはそんな御馳走が出なかったぜ」

「そりゃあそうだわ。いつもあたしの朝のおかずにきまってるんですもの」

「それを僕に一ときれ下さい。菓子よりその方が欲しくなった」

「意地きたなねえ。さあ、口をあーんと開いて。―――」

「あーん」

「ああ、臭! フォークにさわらないようにして、パンだけ巧く取って頂戴。………どう?」

「うまい」

「もう上げないわよ、あたしのがなくなっちまうから」

「フォークを持って来させたらいいのに。手ずから人の口の中へ突っ込むなんか、そう云うところが娼婦なんだな」

「文句を云うなら、人の物なんかたべないで頂戴よ」

「しかし昔はこんな無作法がやれる人じゃあなかったんだが、………随分しとやかで、慎しみ深くって、………」

「ええ、ええ、そうでしょうとも」

「あなたのはつまり腹からじゃあなくって、一種の虚栄心なんだな?」

「虚栄心?」

「ああ」

「分らないわ、あたし。………」

「斯波君に云わせると、あなたを娼婦型にしたのは自分が仕向けたんだから、自分に責任があると云うんだが、僕はそうばかりも云えないと思う。