Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しょうしょうじゅうさんねん
蕭々十三年
山本 周五郎
Lisez 蕭々十三年 (しょうしょうじゅうさんねん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 105 caractères · 16 écrans
と云ってもう一人とびだして来た。主君の供ができるか否かの大事な瞬間である、あとからとびついた男はけんめいに相手をつきのけようとした。しかし忠善が即座に、「もうよい、弥五郎が先についたのだ、口取りは弥五郎でよいぞ」と制した。
するとあとからとびついた男は憤然と忠善をふり仰ぎ、
「殿! おぼえて御座あれ!」と絶叫した。
夢中だったのである、主君の供がしたいという一念でとりみだしていたのにちがいない。しかしいかになんでも主君に向って「覚えていろ」とは言葉が過ぎる、彼はそう叫んでから自分でもあっと思った。――しまった、しまった、とりかえしのつかぬ失策である、彼は全身に冷汗をにじませながら立竦んでいた。
彼の名は天野半九郎、三百石の大小姓で年は二十四歳になる、うまれつき人づきあいの悪い性質で、同僚たちからいつも変屈人あつかいにされていた。半九郎自身ではむろんそんなことは歯牙にかけなかった、彼は「殿のおんため」という一念に凝り固まっていたのである、常住坐臥、かたときも「殿のおんため」ということが頭を去らない、なにをするにも、なにを云うにも必ず「殿のおんため」が出る、しかもそれが心底から本気のことなので、とかく動作がぎすぎすしてみえる。