Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
とうくろうのしま
藤九郎の島
久生 十蘭
Lisez 藤九郎の島 (とうくろうのしま) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 765 caractères · 19 écrans
一
一
享保四年の秋、遠州新居の筒山船に船頭左太夫以下、楫取、水夫十二人が乗組んで南部へ米を運んだ帰り、十一月末、運賃材木を積んで宮古港を出帆、九十九里浜の沖合まで来たところで、にわかの時化に遭った。海面いちめんに水霧がたち、日暮れ方のような暗さになって、房総の山々のありかさえ見わけのつかぬうちに、雷雨とともに、十丈もあろうかという逆波が立ち、未曽有の悪潮に揉まれ揉まれて舵を折ってしまった。大波が滝のようにうちこむので、淦水を汲みだすひまもなく、積荷の材木が勝手に浮きだしてぶつかりあい、その勢いで舷の垣を二間ほど壊されてしまった。
船頭の左太夫は、荷打ちをさせ、垣根の破れ口を固めさせ、思いつくかぎりの手をつくしたが、間もなく梁まで海水がついたので、流れ船にする覚悟をきめ、檣を伐倒して垂纜を流した。時化で舵を折ったときは、舳のほうへ纜を長く垂れ流し、船を逆にして乗るのが法で、そうしなければ船がひっくりかえってしまう。
檣を倒し、たらしをするようになればもう最後なので、あとは船の沈むのを待つばかりである。十一人の乗組みは、思い思いに髷を切って海に捨て、水死したあとでも、一船の仲間だとわかるように、一人一人の袖から袖へ細引をとおしてひとつにまとめ、水船にしたまま、荒天の海に船を流した。