Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にじのはし

虹の橋

久生 十蘭

Lisez 虹の橋 (にじのはし) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 038 caractères · 30 écrans

Aozora Bunko

四

縁もゆかりもない老人のそばにいて、なんのために気骨を折るのかと、じぶんでも不審に思うことがあるが、こうしていることが訳もなく楽しくて、苦労も苦労にならない。この思いのなかには、肉親にたいするあこがれと愛情がこもっていて、生きていくうえの一貫した深いよろこびを感じさせてくれる。千代の身代りになってこの家に居付くようになってから二た月ほどの間、あさひは生れてからまだ一度も味わったことのないような幸福な感じに包まれ、この生活が永久につづけばいいと、感動して涙を流すことがあった。

四

玄関で声がするので出てみると、三十七八の削げたような男が立っていた。くたびれたサージの背広を着て、上着のポケットに両手を突っこんでいる。このポーズに共通する不快な思い出があった。

「北川千代さんというのは?」

「あたしです」

「赤坂署のものだが、手間をとらせないから、ちょっと署まで」

「眼の不自由な老人が寝て居りますのですが、ここではいけないんですか」

私服は、いけぞんざいな口調になって、

「君のほうが、工合が悪いんじゃないのか」

と陰気な声でせせら笑った。その声のひびきの中から、破綻を予見してあさひは絶望した。