Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
Lisez 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 726 caractères · 90 écrans
そしてどんなにひっそりした愛喫のあいだでも、右隣の亜米利加人の中年よりか年とった夫人が、誰かが煙草をのんでいると絶叫しつづけて、しまいには寝台から飛び降りて苦しみ出した。それは十遍に三度くらいは私の喫煙を言い当てているようでもあるが、その騒乱と苦痛とは狂気するまで昇りつめた呻き声なのだ。看護婦と医師とが詰めかけ注射をする時もあれば、鎮まるまで医師が彼女を抱きしめている瞬間もあったくらいだ。それ故、私は私の喫煙が不幸な彼女の妄想に似た煙草の臭気をかぎ出さない、私自身の神経の上の安らかな時をえらんで、喫煙しなければならなかった。実際は煙草の臭いが隣室に洩れることは、厚い防音装置のある壁のすき間から洩れることは、絶対にありえないことであった。であるのに、誰かが煙草を喫み、その臭いがわたしの病室に充満していると叫び出すのだ。だから私は夜おそく一人で喫煙する時には寝台にあぐらを組み、隣室の夫人が起きているかどうかを物音で確かめてから、物を盗むように喫煙するのである。そういう喫煙はまずかろう筈がない、眼を細めて確かにいま煙草をあじおうているという意識のもとで、この山の煙を吸うのである。