Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さいごうたかもり

西郷隆盛

芥川 竜之介

Lisez 西郷隆盛 (さいごうたかもり) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 892 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

当時大学の学生だった本間さんは、午後九時何分かに京都を発した急行の上り列車の食堂で、白葡萄酒のコップを前にしながら、ぼんやりM・C・Cの煙をふかしていた。さっき米原を通り越したから、もう岐阜県の境に近づいているのに相違ない。硝子窓から外を見ると、どこも一面にまっ暗である。時々小さい火の光りが流れるように通りすぎるが、それも遠くの家の明りだか、汽車の煙突から出る火花だか判然しない。その中でただ、窓をたたく、凍りかかった雨の音が、騒々しい車輪の音に単調な響を交している。

本間さんは、一週間ばかり前から春期休暇を利用して、維新前後の史料を研究かたがた、独りで京都へ遊びに来た。が、来て見ると、調べたい事もふえて来れば、行って見たい所もいろいろある。そこで何かと忙しい思をしている中に、いつか休暇も残少なになった。新学期の講義の始まるのにも、もうあまり時間はない。そう思うと、いくら都踊りや保津川下りに未練があっても、便々と東山を眺めて、日を暮しているのは、気が咎める。本間さんはとうとう思い切って、雨が降るのに荷拵えが出来ると、俵屋の玄関から俥を駆って、制服制帽の甲斐甲斐しい姿を、七条の停車場へ運ばせる事にした。