Classiques japonais avec furigana
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さいごうたかもり
西郷隆盛
Lisez 西郷隆盛 (さいごうたかもり) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 892 caractères · 22 écrans
ところが乗って見ると、二等列車の中は身動きも出来ないほどこんでいる。ボオイが心配してくれたので、やっと腰を下す空地が見つかったが、それではどうも眠れそうもない。そうかと云って寝台は、勿論皆売切れている。本間さんはしばらく、腰の広さ十囲に余る酒臭い陸軍将校と、眠りながら歯ぎしりをするどこかの令夫人との間にはさまって、出来るだけ肩をすぼめながら、青年らしい、とりとめのない空想に耽っていた。が、その中に追々空想も種切れになってしまう。それから強隣の圧迫も、次第に甚しくなって来るらしい。そこで本間さんは已むを得ず、立った後の空地へ制帽を置いて、一つ前に連結してある食堂車の中へ避難した。
食堂車の中はがらんとして、客はたった一人しかいない。本間さんはそれから一番遠いテエブルへ行って、白葡萄酒を一杯云いつけた。実は酒を飲みたい訳でも何でもない。ただ、眠くなるまでの時間さえ、つぶす事が出来ればよいのである。だから無愛想なウェエタアが琥珀のような酒の杯を、彼の前へ置いて行った後でも、それにはちょいと唇を触れたばかりで、すぐにM・C・Cへ火をつけた。煙草の煙は小さな青い輪を重ねて、明い電燈の光の中へ、悠々とのぼって行く。