Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なぞのおんな
謎の女
平林 初之輔
Lisez 謎の女 (なぞのおんな) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 077 caractères · 18 écrans
五
五
「じゃぼつぼつ帰りましょうか、やっぱり暖かいようでも外は寒いですね」
二人はベンチを起ち上がった。
二人で並んで歩いているとき、龍之介は何だかくすぐったいような、妙な感じがした。
写真屋が、写真をすすめたり、枝つきの蜜柑を売っている物売りが、「奥さん、お土産にいかがです」とすすめたりするのを聞いても、何となく甘ったるいような気がした。
二人は、運転手が扉をあけて待っている車の中へはいった。車の座席へ座るのにも、以前とちがった感覚があった。素性も知らない女に、名ばかりの夫婦になってくれと頼まれるなんてことが、小説でなら知らず、現実の世界にあり得るだろうか? 彼はロマンチックな小説の主人公になったような気がした。そして、これから先、どんな冒険が展開するだろうと考えると、何となく心が躍った。
車が走りだすと、しばらくだまっていた道子がとつぜん言った。
「夫婦ということになると別々の室じゃおかしいでしょうか? あたしさっきからそのことばかり心配していたんですけれど」
龍之介もそのことをまだ気がつかずにいたが、むろん夫婦が別々の室をとるということはおかしいにきまっている。