Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かじょうのいしき
過剰の意識
中井 正一
Lisez 過剰の意識 (かじょうのいしき) de 中井 正一 (なかいまさかず) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 259 caractères · 5 écrans
何年前であったか、親不知子不知のトンネルをでたころであった。前に座っていた胸を病んでいると思える青年が、突然
「ああ海はいい、海はいいなあ……」
といって、一直線にのびている黒い日本海の水平を、むさぼるように凝視しつついうのであった。そして前に座っている私をつかまえて、多くのことをいったが、
「単純な、静かな、この一直線はどうです好いですなあ。私は東京から体を悪くして故郷の山奥の温泉にいくんですが、東京にはこの単純な美しさがありません。男の子と女の子が、山の奥でただ愛しあうというような単純な美しさがありません。……」というような意味のことを口ばやにいった。そして、海を見ながら
「ああ海はいいですなあ。いいなあ。いいなあ」
と膝を軽くたたきながら、いくらいってもいいたりないようにいいつづけていた。
私はその後、リスキンとキャプラのコンビのものの基調に、かかる感じのもの「太平洋のまんなかの島に二人で住みたい」という底の恋人のセリフを見いだしたことがあったが、私が、このまる三年、東京に住みついて、このノスタルジャ、淡いユートピア気分がわかるような気がするのである。