Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みちくさ
道草
Lisez 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 812 caractères · 293 écrans
「あんな汚ならしいもの」
彼は不思議というよりもむしろ恥かしい気がした。
「いいえ。喜こんで着て行きました」
「御父さんは外套を有っていないのかい」
「外套どころじゃない、もう何にも有っちゃいないんです」
健三は驚ろいた。細い灯に照らされた細君の顔が急に憐れに見えた。
「そんなに窮っているのかなあ」
「ええ。もうどうする事も出来ないんですって」
口数の寡ない細君は、自分の生家に関する詳しい話を今まで夫の耳に入れずに通して来たのである。職に離れて以来の不如意を薄々知っていながら、まさかこれほどとも思わずにいた健三は、急に眼を転じてその人の昔を見なければならなかった。
彼は絹帽にフロックコートで勇ましく官邸の石門を出て行く細君の父の姿を鮮やかに思い浮べた。堅木を久の字形に切り組んで作ったその玄関の床は、つるつる光って、時によると馴れない健三の足を滑らせた。前に広い芝生を控えた応接間を左へ折れ曲ると、それと接続いて長方形の食堂があった。結婚する前健三は其所で細君の家族のものと一緒に晩餐の卓に着いた事をいまだに覚えていた。二階には畳が敷いてあった。正月の寒い晩、歌留多に招かれた彼は、そのうちの一間で暖たかい宵を笑い声の裡に更した記憶もあった。